瞑想をする上で、呼吸に集中することは大切だと言われていますが、私たちが呼吸に集中する理由・呼吸に集中したことの効果・呼吸に集中する瞑想の仕方などの基礎部分や、仰向けで瞑想をする時の呼吸の方法など、自分でトレーニングする方法について、上達法をお話します。
瞑想の呼吸法の基本
簡単な瞑想方法は呼吸に集中すること
瞑想を始める時、最も簡単な方法として「呼吸に集中する瞑想」が一般的に勧められています。
瞑想とは1人静かに目を閉じて座ることであり、その状態で何をどのようにしたらいいのか最初は迷ってしまうものですが、「瞑想とはこういうものですよ」という教えとして、瞑想では呼吸に集中することを教えられることがほとんどです。
実際に、瞑想が何かを全く知らない人でも、呼吸に集中することで瞑想状態へ入っていくことが簡単にできるようになります。
呼吸に集中するという行為が、既に瞑想の始まりなのです。
呼吸に集中する理由はマインドフルネス
瞑想中に呼吸に集中する理由は、マインドフルネスな状態になろうとしているからです。
マインドフルネスとは、ごちゃごちゃと考えることをせず、たった1つのことを流れに沿って考える、もしくは何も考えない状態のことです。
言い換えると、心で感じることに集中している、または、心で感じていることを頭で理解しているという状態が、マインドフルネスです。
マインドフルネスとは、「何か1つのことに集中している」という状態です。
何か一点に全神経を注ぐことがマインドフルネスです。
つまり、例えば、コップになみなみとつがれた水をこぼさないように全神経集中している状態がマインドフルネスです。
例えば、野球で投げられるボールを打とうと、全神経で集中している状態がマインドフルネスなのです。
マインドフルネスは、目を開けて活動的な状態でも、目を閉じた休止状態でも可能です。
ですが、瞑想中はたいていの場合、目を閉じた休止状態でマインドフルネスになる必要があります。
目で何かを見たり、活動をしていると、心で感じることに集中することが、初めは難しいです。
その為、まずは瞑想で心で感じることに集中する為に、目を閉じて静かに座ります。
しかし、私たちの多くは、座ってマインドフルネスになることが苦手です。
体は動かさないけれど、心に集中することが分からずに、様々なことを頭で考え始めます。
そこで、呼吸に集中するのです。
呼吸は静かに瞑想している間にも行っている活動の1つです。
瞑想をして、心に重心を置く為に、頭を使うことを止める必要がありますが、瞑想を始めたばかりの頃は、頭をどうしても使ってしまいがちです。
そこで、呼吸に全身全霊で集中することで、心に重心を置く姿勢を取ろうとするのです。
目をつぶって座っている間に、心に集中することができるのであれば、呼吸に集中する必要は特にありません。
ですが、心に集中することができないうちは、呼吸に集中することで、心に集中する感覚を思い出すことができるのです。
だから、瞑想を始めた頃は、呼吸が大事だと言われているのです。
呼吸に集中したことの効果
呼吸に集中することができると、頭での活動を休止することができます。
その為、瞑想で呼吸に集中するだけで、ストレスが軽減されていきます。
ストレスとは、実は、私たちが頭を使うことで発生する圧力なのです。
つまり、私たちが全く頭を使うことがないとしたら、私たちがストレスを抱えることは皆無なのです。
ですが、私たちは人間として頭という機能を使う必要があります。
大事なことは、心を中心に生き、必要な時だけ頭を使うということですが、私たちの多くは、頭を中心に生きていることがあります。
これでは、ストレスが溜まるのは当然です。
なぜなら、頭を使い続けることで、頭は摩擦が起こるように、ヒートアップしているからです。
ですが、瞑想をして呼吸に集中することで、頭を使うことを休止できます。
頭を使うことを休止した時点で、私たちのストレスは、当たり前のように軽減していきます。
なので、瞑想で呼吸に集中する効果としては、ストレスの軽減が挙げられます。
呼吸に集中する瞑想トレーニング上達法
それではさっそく、呼吸に集中する瞑想トレーニングを始めてみましょう。
簡単に呼吸に集中するコツ
瞑想で呼吸に集中することを簡単にするコツは、考えないことです。
正しいか間違っているか、できているかいないかなどについて考えることを一切止めることです。
まずは、何も心配する必要はありません。
呼吸についての疑問については、以下に解説していくので、まずは、あなたの「呼吸を知ろう」と、呼吸に興味を持ってみて下さい。
あなたの呼吸は、どのような状態で、どのように起こっていますか?
「あなたは今、どんな呼吸をしているの?」と聞かれたら答えられるくらい、呼吸を観察してみましょう。
自分自身の呼吸に興味を持つこと、これが、呼吸を簡単にするコツです。
瞑想の鼻呼吸が苦しい時は口呼吸を取り入れる
瞑想をする時は鼻呼吸が基本ですが、場合によっては鼻呼吸が難しいこともあるかと思います。
その場合は、口呼吸を少しずつ取り入れてみましょう。
まずは、鼻で息を吸って、鼻で息を吐く。
これを続けてみて苦しいと感じたら、鼻から息を吸って、口から息を吐いてみましょう。
口から息を吐く時は、できるだけしっかりと吐き切るようにします。
そして、次に、鼻からまた息を吸います。
どうしても鼻呼吸が苦しくて息が上がってしまう場合は、吸う息も吐く息も口呼吸でも構いませんが、口呼吸をメインでする必要がある場合は、口をすぼめてストローから息を吸うような感じをイメージするといいでしょう。
体の中のエネルギーは、基本的には、鼻呼吸と共に動き、口呼吸ではエネルギーと連動する力がどうしても劣る傾向があるので、練習を重ねる上で、鼻呼吸ができるようになるといいかもしれません。
ですが、ここでも、呼吸に関して難しく考える必要はありません。
「何もせずにじっと呼吸だけをしている状態」が苦しくないように、リラックスして呼吸に興味を持ちましょう。
理想的な呼吸のリズム
理想的な呼吸は、ゆっくりとリラックスしている状態でする呼吸です。
これはどんな状態かというと、静かに寄せては返す「波打ち際の波の音」に近い状態です。
浜辺に寄せる波の音と共に息を吸い、海へ帰る波の静けさの時に息を吐く、といった感じです。
動画の波の音を参考にしてみて下さい。
時には深く息を吸い、時には深く息を吐く。
時には浅く息を吸い、時には浅く息を吐く。
規則正しくはない自然な呼吸をすることの感覚を掴むことが大切なのです。
息を吐く秒数や吸う長さは?
自由に呼吸をする感覚がつかめてきたら、呼吸をどんどんゆっくりにしていきましょう。
そうすると、どんどんリラックスすることができます。
どれくらいゆっくりな呼吸をするかは問題ではないので気にしなくても大丈夫です。
どうしても気になる場合は、3秒以上吸って、3秒以上吐くことを目指すといいかもしれません。
ですが、大切なことは、呼吸を自分のペースで自然にすることです。
自然な呼吸を意識することができるようになったら、できる範囲でゆっくりとした呼吸へ変えていきましょう。
呼吸を数えてもいいの?
呼吸に集中する為に、吐く息や吸う息を数えても構いません。
ですが、あくまでも呼吸を自然にすることに重点を置いて、ついでに数がついてくるといった状態を心がけましょう。
なぜなら、呼吸がどれだけの秒数で行われているかをチェックするということは、頭が働いているということです。
頭が働いていると、瞑想はうまくいきません。
呼吸の長さは気にする必要はありません。
呼吸を意識することを忘れる為に、どうしても数を数えたくなる場合は、以下の方法を試してみましょう。
エネルギーを意識・イメージする
呼吸する度に、エネルギーを吸っていることをイメージしてみましょう。
あなたの周りにある空気が、白い煙のようなエネルギーであることをイメージしてみて下さい。
そして、その白い空気を鼻から吸って、体を満たすことをイメージします。
呼吸で吸っているものが、慣れ親しんだただの空気ではなく、貴重なエネルギーであると認識することができれば、呼吸はゆっくりと深いものになるでしょう。
白いエネルギーを鼻から吸って、吐くと同時に自分の中の無色透明なものを吐き出していきます。
呼吸を重ねるたびに体全体が白いエネルギーで満たされることをイメージしましょう。
それができる頃には、呼吸をすることが気持ちいいと感じていることでしょう。
呼吸を意識しない瞑想
呼吸を意識して瞑想をすることに慣れて、呼吸をすることが気持ちいいと感じることができたら、あなたは既に、心に重心を置く状態を思い出しています。
心に重心を置く状態にいつでもなれるようになったら、瞑想中に呼吸に集中する必要は必ずしもありません。
呼吸に集中する代わりに、心の空間に意識を向けます。
そして、あなたの心の空間を探求してみて下さい。
これができるようになった時、あなたは、あなたの潜在意識に入ることになるでしょう。
潜在意識に入ると呼吸は浅くなる
潜在意識に入ることができるようになると、呼吸が浅くなることがあります。
呼吸が止まったと感じる場合もあります。
これは、瞑想をある程度続けた人の多くが体験する現象であり、心配することはありません。
私も、呼吸をずっとしていなくて、息を吸った瞬間に「あれ~長いこと息してなかったなぁ~。でも全然大丈夫だなぁ~」と感じることがあります。
ですが、基本的には、呼吸が極端に浅くなっている時、呼吸をしている外側の世界には意識がないので、呼吸をしていないことにも気がつかないかもしれません。
いずれにしても、呼吸が浅く、止まっているかのように感じることができたら、潜在意識に入ることができているととらえていいかと思います。
潜在意識に入れる頃には、呼吸のトレーニングはもう必要ないでしょう。
潜在意識に入れるまでを目標として、呼吸トレーニングを続けてみましょう。
仰向けで瞑想をする時の呼吸の仕方
腹式呼吸
まず最初は、仰向けに寝転がったら、腹式呼吸をするように意識します。
体をリラックスさせることを意識しながら、腹式呼吸をします。
空気を吸う時にお腹が膨らむのを感じます。
腹式呼吸を意識しますが、あくまでも体をリラックスさせることを優先します。
体をリラックスさせながら、深くゆっくりと呼吸をしていきます。
胸呼吸
仰向けに寝転がって、腹式呼吸をしながらリラックスすることになれたら、今度は、吸った空気をお腹だけで終わらせず、胸にまで送ります。
腹式呼吸でお腹が空気で満たされた後、さらに息を吸って胸が膨らむのを感じます。
息を吸うことが辛くならないように、お腹に空気を満たしすぎず、ある程度したら胸を空気で満たすことを始めるといいかもしれません。
お腹と胸を同時に空気で満たすことができるならば、それでもかまいません。
ここでもまた、リラックスできていることを優先しながら、お腹と胸の両方に空気を送る呼吸を心がけてみましょう。
頭に息を送る
仰向けでリラックスしながらお腹と胸の両方を空気で満たす呼吸ができるようになったら、今度は、頭まで空気を送ってみます。
お腹を空気で満たし、胸をも空気で満たしたら、そのまま空気を吸って、頭まで空気が回り込むことをイメージしながら感じます。
そして、お腹と、胸と、頭との境界線がなくなるように、吸った空気が体全体に廻るのを感じながら呼吸をします。
仰向けで瞑想をする時の呼吸法は、あくまでも「リラックスする」ことの次に大事です。
呼吸を意識しすぎてリラックスできなくなってしまっては困ります。
なので、リラックスすることをいつも優先させましょう。
腹式呼吸しかできなければ、無理に胸や頭まで空気を送ろうとする必要はありません。
一番心地よくリラックスできる呼吸をすることが大切です。
呼吸をアレンジする
仰向けで瞑想をしている時に、体の各部に空気を満たすことができ、さらに呼吸を楽しみたいという場合は、さらにアレンジできます。
吸っている空気の色を感じてみましょう。
そして、吸っている空気を白く感じたり、ピンクに感じたり、星のようなきらめき(光)を感じましょう。
空気を吸うことで、愛されていることを感じていきましょう。
呼吸を深くゆっくりとすることで、満たされていくあなたを感じましょう。
このように呼吸をする中で、何かを感じることが出てくる可能性があります。
「何かを感じる」とは、あなたの中にある考えかもしれませんし、感情、感覚、イメージなどであるかもしれません。
その「浮かび上がってきたもの」に注意を向け、今の自分の状態を認識することを心がけましょう。
まとめ
瞑想で呼吸に集中する理由は、普段頭にいっている重心を、心に移したいからです。
呼吸に集中することができるようになると、ストレスの軽減がすぐに始まります。
心に意識を集中することができるようになったら、呼吸に集中しなくても大丈夫です。
心の世界を探索してみましょう。